学生の活動に寄せて

取材の様子

 復興支援として山田町に来る学生に何ができるのか。震災から3年が経とうとする今、5年10年先の課題も視野に入れた活動が必要だ。建設業者やボランティアが多く出入りする、いわゆる「復興特需」がなくなれば町の経済は打撃を受け、人が少なくなって活気を失う。

 その時、山田町へ仕事でもボランティアでもなく訪れる人が少しでも多くなること。これが私たちの視点だ。旅行者など町外から訪れる人(交流人口)を増やす努力は、5年10年後に効果が表れる。

あかもく作りの様子

 この課題から学生たちが導き出した答えが「山田発!食のこだわりマップづくり」だ。コーディネーターとして心掛けているのは、学生たちが山田の人と深く交わること。はじめはこの活動が交流人口増加に役立つのか半信半疑でも、こだわりの食を味わい、それを作り出す人と向き合う中で、いつしかその魅力に強くひかれていく。

 すると彼らの発する言葉はグルメレポートではなく、人の物語に変わる。学生たちが本当に感じた山田町最大の魅力は、そこに住む「人」だからだ。「またこの人に会いたい」と言う彼らの発信は、単純に“おいしい”では終わらない。

 人と深く交わることで感じる魅力。それを力ある言葉で発信する彼らの活動が、山田町の未来に活気をもたらすきっかけとなることを願っている。

コーディネーター:岩手大学三陸復興推進機構 特任研究員 船戸 義和
(全国生涯学習ネットワークフォーラム2013 企画実施委員)