「地産地消うどん」釜揚げ屋/山田生せんべい工場 取材体験記

地産地消と自家製麺うどんにこだわる

お団子作りの様子

 旧陸中山田駅裏のプレハブ仮設店舗、「釜揚げ屋」にお邪魔した。震災前から山田町で人気のお店で、小麦粉、うどんの具材、出汁といったすべてに山田町産、県産のものを使っており、おいしいと評判のお店だ。私自身何回か食べに行っていて、どのメニューもおいしかった。

 接客の体験をさせて頂くと震災前と変わらず、多くのお客さんが来ていて忙しかった。地元に愛されているお店だということを改めて感じ、地元食材にこだわっているからこそ、地元の人が多く来ているのだと思った。

豆すっとぎ作りの様子

 また、昔ながらの手法でうどん作り体験もした。手でこねたり、踏んだりすると、生地がどんどんしっとりしていくのが分かり、うどんはこねる過程が一番大事だと知った。

 生地を包丁で切るのが難しく、太くなったり、細くなったりしてしまったので、茹であがったうどんは太さがバラバラで、切れて短くなったものが多かったが、食べてみるとコシが他のうどんと比べて強いと感じた。出汁のカツオと昆布の香りがおいしさを倍増させていた。

取材スナップ

 「釜揚げ屋」の店主である川村さんは「地産地消というけれど、人がその土地のものを食べるのは当たり前。それが一番体に合っている」と仰っていた。

 私は食べ物の産地にこだわっていなかったけれど、この言葉に納得した。山田で育った私は山田のものが一番合っているのではないか。だからこそ地元のものを自分のために、地元のために食べていきたい。化学調味料や外来のものを食べて体を悪くしてしまうよりも、食にこだわって、自分の体のことを考えることが大切だと思った。

盛岡大学3年 佐々木 佳実(岩手県山田町出身)

山田生せんべい工房を見学

お団子作りの様子

 山田生せんべいは大きさが14センチで、クレープほどの大きさ、食感は八ツ橋に似ている。私が子どもの頃から大好きなおやつとしてで何気なく食べていたものだ。丸めて食べるのが好きだった。震災後は一年近く作られておらず、食べることができなかったが、地元の人たちの強い要望によって、試行錯誤しながら2012年5月に復活した。

 山田生せんべいは釜揚げ屋もある長崎地区の復興仮設店舗で作っている。工房の前には何十枚もの山田生せんべいが天日干ししてあり、壮観だった。お手伝いをさせてもらいながら、工房の川村幸広さんと澤村君代さんからお話を伺った。

取材スナップ

 材料は米粉とゴマと砂糖であること、由来は不詳だが、遡ると江戸時代の末期頃から作り始めたということを初めて知った。また、ゴマの香りを強くするために炒ったり、できたばかりの柔らかいせんべいを絶妙な硬さにするために乾かしたりと相当な手間がかかっていたことが分かった。お話からは、おふたりともこの「山田生せんべい」が好きなのだと感じた。

 震災後多くの人が復活を望んでいたということを聞いて、地元に愛されているお菓子だと感じた。私自身も復活して嬉しかったのを覚えている。工房を見学して、改めて「山田生せんべい」が好きになった。

盛岡大学3年 佐々木 佳実(岩手県山田町出身)